著書の情報
『人生を変える幸せの腰痛学校』
伊藤かよこ著 プレジデント社刊
1967年大阪生まれ 東京都在住 鍼灸師
慶応義塾大学通信教育課程卒業後、リクルートフロムー入社。
入社2年めに腰椎椎間板ヘルニアによる腰下肢痛発症。
その後2年にわたり、3度の入院と手術、数多くの数多くの代替療法を受けたが改善せず。
「痛みを治す」ことをあきらめ、「痛みのあるまま幸せになろう」と考え方を変えることで、慢性の痛みを克服した経験を持つ。
自身の経験がきっかけで心身医療に興味を持ち、鍼灸専門学校へ進学。
在学中に、ホリスティック医学、東洋医学、心理学、各種心理療法、瞑想や催眠などを学ぶ。
2000年はり師・きゅう師免許取得後、神奈川県で心身両面からアプローチをする鍼灸カウンセリング治療院を開業。腰痛をはじめさまざまな不調に悩む多くの患者さんと対話を重ねる。
2016年11月、認知行動療法のグループプログラムを小説化した『人生を変える幸せの腰痛学校』(プレジデント社)上梓。
100名以上の方から「読んで痛みが改善した」との声をいただく。
2018年2月、赤ちゃんの夜泣き対策や寝かしつけについての本『かんたん☆ねんねトレーニングBOOK』(日本実業出版社)上梓。
現在は、書籍『人生を変える幸せの腰痛学校』をリアルに再現した腰痛学校講座の開催、オンラインを使った腰痛学校コミュニティを主宰している。
◎著者公式ホームページ
http://www.itokayoko.com
◎本書の紹介リンク
https://amzn.to/333P8HK
※上記公式HP略歴から引用
認知行動療法とは?
伊藤かよこ先生の『人生を変える幸せの腰痛学校』は、腰痛治療をする立場の施術者にとっては、「自分の言葉一つでその人に呪いをかけることも、勇気を与えることもできる」ということが学べ、腰痛を抱える患者さんにとっては「自分の身体は自分で労わる」という認知行動療法を学べる本です。
慢性腰痛の原因が「心理・社会的要因」と言われて久しいのですが、ヘルニアや退行変性、骨格のゆがみ・ずれ、筋肉のアンバランス(構造的な欠陥)が腰痛の原因だと、私は長年信じていたので、実は初めのうち本書の説く内容に懐疑的でした。
本書のあらましは、性別・年齢・背景の様ざまな、腰痛学校に通う架空の生徒5人(著者の伊藤かよこ先生は、鍼灸師でありながらご自身も慢性腰痛で苦しんだ経験をお持ちで、その克服の過程が存分に反映されています)の人生をつぶさに観察することで、読者自身の人生(認知)を変え、腰痛を治療する。というものです。

ご自身も腰痛に悩まされた経験を持つ
読めば人生が変わる…
「まさか、人生を変えるなんて大げさな…」と思われるかもしれませんね。
その気持ちへの反証というわけではないのですが、ここで私の体験談をひとつお話しさせてください。
私は腰痛患者を扱うことが多い整骨院や、整体カイロプラクティック治療院などに製品販売する会社(江崎器械株式会社)を経営しているため、腰痛を構造的に治療する数多の知識を持っていました。
腰痛の構造的な治療とは、先にも述べたました通り「ヘルニアや退行変性、骨格のゆがみ・ずれ、筋肉のアンバランスを矯正する」ことです。
そのような身体の構造が悪化することで、腰痛が引き起こされていると信じ、微塵も疑わなかった私でしたが、あることをきっかけに3か月ほど腰痛に苦しむ経験をしてしまいました。
とある休日、私はガールフレンドと街で買い物をしていました。たまたま入ったお店で自分好みの服を発見して、周囲にいた他の買い物客に気を遣いながら手に取ろうと、少し体をひねってかがみました。
その瞬間…。

背中に激痛が走り、すぐに痛みで動けなくなってしまいました。というわけで、その日のデートはさんざんな結果に終わり、這う這うの体で帰宅してはみたものの仰向けに寝たが最後、もはや起き上がれもしない状態となってしまいました。(起き上がろうとするとブレーシングという体の反応で筋肉が過緊張を起こし激痛が走る状態です)
以前であれば2週間もすれば自然と治まった腰痛が、今回ばかりはその筋の名医といわれる方に診てもらっても全くよくならない!
思い切った決断をする
少しでも姿勢を変えると痛い…
私は完全に寝たきり状態となってしまい、自分の身におきた取り返しのつかない不遇を後悔するばかりでした。そして、冷たい脂汗をかきながら私が憑りつかれていた考えとは、「もう一生、大好きなサーフィンができない体になってしまった」かもしれない。と、いうことでした。(笑わないで下さい。当人にとっては相当な絶望感なのです)
ですが、そうして天井を眺めているしかない時間を過ごしていると……。
半ば怒りにも似た感情がふつふつと沸いてきて、「どうせこのままサーフィンの出来ない人生になってしまうなら、海で死んだ方がましだ!」という気持ちになり、終いには海を墓場にしてもサーフィンをしよう!という決意が固まっていました。
腹が決まると、痛みで体が悲鳴を上げるのもかまわずに、私はサーフィンへと飛び出してしまったのです。

思いもよらない結果が…
無我夢中となって3時間ぶっ通しのサーフィンを終え、砂浜にあがり息を落ち着けていると……。
あれ?なぜかそれまで痛かった腰が全く痛くない!
「今までの苦しみはいったいなんだったんだ?」 まるで夢でも見ているようでした。結局、その後腰痛が再発することはなく、痛みがすっかり引いてしまったのです。
この経験から、100%信じていた身体の構造的欠陥が体の不調を引き起こす。という考え方にだんだん疑いを持つようになりました。

そんな時、『人生を変える幸せの腰痛学校』に出会い、いかに自分がわくわくするような気持ちでいることが大切で、前向きに過ごすこと、腰痛を気に病まないことなどが、腰痛発生の仕組みと深く結びついているか、私なりにとてもよく理解できました。そして、この発見を実践するようになってからは、なぜか二度と腰痛に悩まされることはなくなったのです。
およそ身動きがとれないほどの腰痛に苛まれている時に、あえて運動に出かけた経験のある人などそうは居ないと思いますので、いまのお話をにわかには信じていただけないないかもしれません。ですが、痛みでベッドに縛り付けられていた私が、人生の決断を経て、サーフィンに飛び出したことは、おおむね認知行動療法的な見地からは理にかなっていたようなのです。
まとめ
はじめにも申し上げましたが、施術者さんにとっては「自分の言葉一つでその人に呪いをかけることも、勇気を与えることもできる」、一方で、腰痛患者の方は「自分の身体は自分で労わる」必要がある。という冒頭の言葉は、私が身をもって体験したことでもあったのです。
もちろん心理・社会的な要因が絶対というわけでは無いと思いますが、人間は生物であり動的平衡を保ちながら活動をしています。ともすれば構造的な欠陥(機械構造論)で人体をとらえがちな代替医療従事者においては、心と身体は切り離せないということを学ぶきっかけとしての、入門書にも最適なのではないでしょうか。

いかがでしたでしょうか?以上が、本書を読み終えた後の私の感想となります。良く分かっているつもりの自分の体にさえ、にわかには信じられない現象が起きてしまうものなのですね……。
もし本書にご関心のある方がおられましたら、下に商品の紹介リンクを貼っておきます。
最後までお読みいただきありがとうございました!
