コロナ終息後の社会を考える|その2

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4回連載の「コロナ終息後の社会を考える|その2」では、

京都の一見さんお断りビジネスの本音についてお伝えします。

地方移転後の集客方法

前回の記事で、今後は環境立地型ビジネスが立ち行かなくなり、在宅ワークやワーケーションなどが浸透することで、都心の一等地に店舗を構えることがメリットではなくデメリットになりうることをお話しさせていただきました。

では、仮に店舗を都心から地方に移転するとしてどのような集客方法が考えられるでしょうか?

そこでヒントになるのが一見さんお断りの京都のビジネススタイルです。

京都という土地は特殊なエリアで、他の地域の人が商売をするのがとても難しいと口をそろえて言われます。

よく揶揄される独特の言い回しである「お茶もう一杯いかがですか?」に始まり、

(知らない方もいらっしゃるかと思いますが、京都では帰ってくださいという意味です。間違ってももう一杯お茶をもらってはいけません。私は実際に経験したことはないですが)

門前払いされる率も高く、飛び込み営業が成立しないことでも知られています。

蛇足ですが、福岡にある弊社の代理店さんにこのお話をしたところ、九州特に福岡あたりでは飛び込み営業に寛容で、代表の方があってくれる率も高いのだとか。博多っ子はやっぱり情に熱いなと妙に納得したものです。

話をもとに戻して、「一見さんお断り」について説明をしますね。

まず、知り合いの紹介がないとお客さんになれないという部分がフォーカスされて「よそ者は来るな!」という閉鎖的なイメージが強いのですが、これは間違いです。

一見さんをお断りするのは「なじみのお客様を大切にすること」と、「一見さんで来られたお客様のことをよく知らないので満足なサービスができない」ということを重視するからなんですね。

ちなみに、一見さんお断りで有名なのは祇園にあるお茶屋さんですが、その場で会計することはまれです。つけ払いで後日お会計が普通で特に値段を聞くこともありません。(値段を聞くのは野暮なので)

こういった取引は、お客様と店側の絶対的な信頼関係で成り立っていますが、お店側にとっては自社に合うお客様を選ぶことで継続的な来店が望めます。

また、お客を選ぶと書くと顧客が減っているようにイメージされますが、自社に合うお客様はウェルカムなのでいくらでも来てくださいというスタンス(つまり、典型的なリピートビジネス―広い意味の会員制「ビジネスモデル」)です。

お客様を選ぶということ

自社に合うお客様を選ぶということは一見効率が悪く見えますよね?

しかし、自社に(自院に)合わない顧客を相手にするということは、実は見えないコストがたくさんかかっているものです。

まず、不特定多数の方を相手にする場合、様々な投資が必要になります。ネットへの掲載、ポスティング等々の広告宣伝費用はもちろんのこと、ターゲットにあった院の雰囲気づくりやスタッフの配置、万が一のクレーム対応など想定以上のコストがかかります。

その他にも女性だけで運営されている院で、男性のお客様とトラブルになる。また、その逆のパターンも実際に相談を受けたことがあります。

ところが自社に合うお客様を選ぶことで、自社の得意分野に経営資源を集中することが可能になります。

施術という代替医療サービスの特性上、どのような患者さんが来ても対応できることが当たり前と思われがちです。

ところが、「何でも対応できる!」ではなく「スポーツ障害に強い」「女性特有の悩みに対応できる」「女性専用」など、自分の得意分野を入り口にするという方が、お客様にとってもお店のイメージがつかみやすくなります。

不得意な分野に関しては、その分野を得意とする人と提携することで棲み分けすることも考えられます。これによって自分のターゲットが明確化され、具体的な販促が打てるようになります。

紹介という集客方法

紹介という形で集客をすることで、新たに紹介される顧客の信用が担保され、またその施術院にあった患者さんが確保できるという2つのメリットが考えられます。

顔が見えて自分の良さを知ってくれている顧客に対してよいサービスをしていくことで、コロナ禍のような不測の事態にも売り上げが落ちづらい、あるいは落ちてもすぐに戻るという理想的な経営も可能になるのです。

「一見さん お断り」であっても、紹介者がいれば断ることはありません。

なぜなら紹介者は少なくともそのお店の常連であり、既に常連であるお客様がその店に似合わない人を紹介しないという前提があるからです。

互いの背景を理解し信頼関係が強固なため、お店を紹介された人を断る必要がないのです。逆に言えば、紹介された一見さんが何か不始末を起こせば、その紹介者もその後は出入り禁止になるということなのです。

自分の得意分野を突き詰めることで、先生自身を売り物にすることも可能です。

先生そのものがブランドとなることで、先生を目当てにこぞって患者さんが押し寄せるという展開も可能になります。(さしずめ、フレンチの有名なシェフを目当てに、隠れた名店を探すようなものでしょうか)

いかがでしたか?閉鎖的に思われがちな一見さんお断りには自社のファンを増やす工夫がいくつもあることがわかっていただけたのではないでしょうか?

次回は具体的な事例をご紹介しながら、コロナ後の社会を考察していきたいと思います。

治療院や高齢者福祉施設でのお困りごとや、機器の導入に関するご相談など、弊社へのお問い合わせは下のボタンからお気軽にどうぞ。

この記事を書いた人:江崎 健太郎
江崎器械株式会社で代表を務めております。 トムソンベッドを30年以上取り扱う会社の三代目社長を勤めています。近年は高齢者向けトレーニングマシン「タートルジム」の開発にも携わっています。 マレーシアにて開催された、3RD.World Conference On Exercise Medicine 2019に「Think Simple In Training Elderly To Engage In Physical Exercise」という講演タイトルで登壇致しました!

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