以前、下の記事でドロップ機構部の違いを説明しましたが、そのドロップをコッキング(cocking:上にあげる)仕組みもたくさんありますよね。ではそれぞれどのような特徴やメリット・デメリットがあるのでしょうか?詳しく解説していきますね。
大きく分けて2種類のコッキングシステム
まず、コッキングシステムには大きく分けて2つあります。まず、動力源を使う自動式と、動力源を使わない手動式があります。
・自動ドロップ
前回ご紹介したエレベーション型や、ハイロー型などは動力源があるので、それを利用してドロップをコッキングするのが自動タイプの仕組みです。
ロイド社では内蔵の油圧ポンプを使用し、シリンダーを動かしてドロップを上げます。
その他では、外付けのエアコンプレッサーを使用してエアーシリンダーを動かす仕組みのベッドもありますね。メーカーとしてはゼニス社やタカラベルモント社、岩崎製作所などはこの仕組みを採用されています。
ちなみに、最近では電動モーターを使用したメーカーも出てきています。
・手動ドロップ
次に手動タイプは文字通り、「手」を使ってあげます、「足」を使ってあげるものもあります。
コッキングを施術者自身の力で行うタイプですね。自動よりも安価に作れますが、回数が多いと疲れてしまうのが難点ですが、壊れにくい利点もあります。
コッキングシステムのまとめ
自動式・手動式すべて合わせると、現状存在する コッキングシステム は以下の5つに分類されるようです。
- 空気圧式
- 油圧モーター式
- 手動ハンドル式
- キックペダル式
- 電動モーター式
次にコッキングシステムごとの特徴をご説明します。
空気圧式
空気圧式はコンプレッサーで圧縮した空気を、エアーシリンダーに送ってコッキングします。空気圧の切れの良い音(プシュ!)が心地よく、また油圧と違いエアーシリンダーが空気漏れしても漏れるのが空気だけなので、故障しても床やベッドが汚れないのが利点です。
デメリットとしては、エアーシリンダーは空気圧を高くしないとコッキングができないため、どうしてもドロップが上がる時の衝撃がきつくなり患者さんを驚かせることがあります。また別途コンプレッサーを準備する必要があり配管や置き場所などを考慮する必要もあります。また連続でドロップを落とす際にコッキングの間隔をあける必要があるため、人によっては遅いと感じることもあるようです。さらに日本は湿気が多いため、定期的に水抜きをしないとコンプレッサーが痛んだり、ドロップを上げた時に排出する空気にさびやほこりが混じることも・・・
油圧モーター式
油圧モーター式は油圧シリンダーを使用してコッキングします。動力源を1つにまとめているため、追加のコンプレッサーなどが必要なく省スペースです。また油圧は速度が遅くしても力がとても強いので患者さんに伝わる衝撃が優しいのが特徴です。またスプリングバック方式の油圧シリンダーのため、速度が速くドロップを連続で落とす際には軽快に操作が可能です。
デメリットとしては、油漏れが起こると床やクッションが汚れてしまうことがあります。
手動ハンドル式
手動ハンドル式は、レバーを持ち上げることでコッキングをします。てこの原理を使うことで少ない力で持ち上げることが可能です。またシンプルな構造のため安価に作れること、壊れにくいのが特徴です。ロイド社では自動ドロップのバックアップとしてすべてのドロップに手動ハンドルをつけています。
デメリットとしてはドロップを落とす際にコンタクトハンドを外してドロップを上げる必要があります。また重い患者さんの場合はどうしても重くなるため非力な女性では辛いことも…
キックペダル式
キックペダル式は足踏みペダルを使ってドロップを上げます。コンタクトハンドを外さずにドロップを上げられるのが特徴です。また足の力を使うので重い患者さんでも十分に対応が可能です。
デメリットとしては手動に比べると機構部が複雑なため価格が高くなることや、脚の力を使うため部品に負担がかかりやすく、手動に比べると比較的故障率が高くなります。
電動モーター式
サーボモーターを使用してコッキングする仕組みです。モーターでカムを回してコッキングしますが、構造としては最も新しく、油圧と空気圧の利点をあわせもった機能を目指してつくられました。
しかし、コッキングに時間がかかること、重い患者さんに対応ができないことや、各クッションに大型のサーボモーターを配置することで重量増とコストアップなどまだまだクリアしなければならない点も多そうです。
いかがしたか?ドロップを上げる機能だけでもたくさんありますね。
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